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借り上げ社宅の家賃計算と「社会保険料が思ったほど下がらない」落とし穴
「10月の給与明細を見たら、社会保険料がまた上がっていた……」
毎年4〜6月の給与をもとに決まる社会保険料は、9月分から新しい金額に切り替わり、多くの会社では10月に支払う給与から天引き額が変わります。役員報酬を上げても、税金と社会保険料に持っていかれて手取りがほとんど増えない——そう感じている経営者の方は少なくありません。
そこでよく耳にするのが「社長の家を会社で借りる(役員社宅)と節税になる」という話です。これは事実です。ただし、正しい家賃の計算方法を知らずに始めると、税務調査で「給与」と判断されて追加の税金がかかったり、期待していたほど社会保険料が下がらなかったりすることがあります。
この記事では、役員社宅の仕組み、社長が負担すべき家賃の計算方法、導入の手順、そして税金と社会保険の両面から見た落とし穴を、はじめての方にも分かるように解説します。後半では、家賃20万円のマンションを例に、手取りがいくら増えるのかを具体的な数字でシミュレーションします。
| 【この記事の結論】 ① 役員社宅は、ルールどおりに運用すれば合法的に手取りを増やせる方法です。会社が家賃を払い、社長は国税庁の計算式で出した「賃貸料相当額」だけを負担します。家賃20万円の物件なら、社長の負担は2万円台に収まることも珍しくありません。 ② 税金と社会保険では「家賃のモノサシ」が違います。税金は固定資産税の評価額をもとに計算しますが、社会保険は都道府県ごとの「1畳あたりの金額」で計算します。この違いを知らないと、社会保険料の削減効果を見誤ります。 ③ 役員報酬の見直しは、事業年度が始まってから3か月以内が原則です。思い立ったらすぐ始めるのではなく、次の期首に向けて「社宅規程・契約・報酬改定」をセットで準備するのが成功の鍵です。 |
役員社宅とは?節税になる仕組みをまず理解しよう
結論から言うと、役員社宅で税金が減るのは「同じお金を、給与としてではなく家賃として会社から出す」からです。
役員社宅とは、会社が借りた(または所有する)住宅を、会社の役員に住まいとして貸し出す仕組みのことです。会社が不動産会社や大家さんと賃貸契約を結ぶ形を、特に「借り上げ社宅」と呼びます。
家庭のやりくりに例えると
お父さんが毎月のお小遣い30万円の中から家賃20万円を払っている家庭を想像してください。お小遣いには税金がかかるので、実際には「税金を引かれた後のお金」で家賃を払っていることになります。
一方、家賃を家計(会社)から直接大家さんに払い、お父さんはお小遣いを減らして少しだけ家賃を家計に入れる形にするとどうでしょう。お父さんの「税金がかかるお小遣い」が減るので、同じ生活をしながら税金を小さくできます。これが役員社宅の基本的な考え方です。
住宅手当・個人契約との違い
「家賃を会社が払う」方法には、住宅手当を出す方法もあります。しかし住宅手当は、名前が違うだけで中身は給与なので、税金も社会保険料も減りません。3つの方法を比べると、違いがよく分かります。
| 比較項目 | 個人で契約・自分で支払い | 住宅手当を支給 | 借り上げ社宅(役員社宅) |
| 賃貸契約の名義 | 社長個人 | 社長個人 | 会社 |
| 家賃を払う人 | 社長(給与の手取りから) | 社長(手当込みの給与から) | 会社が大家さんへ直接 |
| 所得税・住民税 | 給与全額に課税 | 手当も給与として課税 | 社長の負担額が適正なら、会社負担分は非課税 |
| 社会保険料 | 給与全額が対象 | 手当も対象 | 都道府県別の基準額を超える部分だけが対象 |
| 会社の経費(損金) | 給与として経費 | 給与として経費 | 家賃として経費 |
| 節税効果 | なし | なし | 大きい |
| [画像指示:個人契約・住宅手当・借り上げ社宅の3パターンで、家賃のお金の流れ(会社→社長→大家さん/会社→大家さん)を矢印で比較した図解イラスト / キャプション:会社から大家さんへ直接家賃が流れることで、社長の「税金がかかる給与」が減ります] |
社長が払うべき家賃「賃貸料相当額」の計算方法
結論として、役員社宅の成否は「社長がいくら会社に家賃を払うか」で決まります。この金額が少なすぎると、差額は社長への給与とみなされて課税されます。
賃貸料相当額とは、役員が社宅を借りる際に、税務上「これだけは払っておく必要がある」とされる家賃の目安額のことです。国税庁の通達で計算方法が決められており、住宅の広さや構造によって3つの区分に分かれます。
住宅の3つの区分と計算方法
| 区分 | 判定の基準 | 社長が負担すべき家賃(月額) |
| ① 小規模な住宅 | 床面積132㎡以下(木造など法定耐用年数30年以下の建物)、または99㎡以下(鉄筋コンクリート造など30年超の建物) | 次の合計額(固定資産税の課税標準額をもとに計算):建物の課税標準額×0.2%+12円×床面積(㎡)÷3.3㎡+敷地の課税標準額×0.22% |
| ② 小規模でない住宅 | ①を超える広さで、③に当たらないもの | 自社所有:(建物の課税標準額×12%〔耐用年数30年超は10%〕+敷地の課税標準額×6%)÷12/借り上げ:家賃の50%と上記の計算額のいずれか多い額 |
| ③ 豪華な住宅 | 床面積240㎡超で、取得価額・家賃・内外装などから見て豪華なもの(240㎡以下でもプールなど個人の好みの設備があるもの) | 通常の家賃相当額(時価)。節税効果はほぼなし |
多くの都市部のマンションは①の「小規模な住宅」に当たります。この場合、計算の土台が固定資産税の評価額なので、実際の家賃の1〜2割程度に収まることがよくあります。ここが役員社宅の節税効果が大きい理由です。
固定資産税の課税標準額はどうやって調べる?
固定資産税の課税標準額とは、市区町村が固定資産税を計算するもとにしている、土地や建物の評価額のことです。借り上げ社宅の場合、会社は大家さんではありませんが、借りている人(借主)として、賃貸借契約書を持参すれば市区町村(東京23区は都税事務所)で「固定資産評価証明書」などを取得できます。マンションの場合は、建物も敷地も「その部屋の持分」で計算します。
| 税理士の実務視点 実務で最も多いミスは、計算式を使わずに「家賃の1割をもらっておけば大丈夫」と自己流で決めてしまうことです。税務調査では評価証明書をもとに検算されるため、根拠のない金額は通用しません。 評価額は3年ごとに見直されるため、評価替えの年には賃貸料相当額も計算し直す必要があります。計算の根拠資料(評価証明書と計算表)は、社宅ごとに毎年ファイルしておきましょう。 |
税金と社会保険で「家賃のモノサシ」が違う
結論から言うと、役員社宅で所得税は大きく減っても、社会保険料は「税金ほどは」減りません。理由は、社会保険が税金とは別の基準で社宅を評価するからです。
社会保険は「1畳あたりいくら」で計算する
現物給与とは、お金ではなく、住まいや食事など「モノやサービス」の形で受け取る報酬のことです。社会保険では、会社が社宅を提供した場合、厚生労働大臣が都道府県ごとに定める「1畳あたりの金額」に、居間や寝室など住むための部屋の畳数を掛けた額を報酬として扱います。台所・トイレ・浴室・玄関・廊下は畳数に含めません。
そして、この金額から社長が払っている家賃を差し引いた残りが、社会保険料の計算に上乗せされます。つまり、税金のルールどおりに家賃を払っていても、社会保険の基準額の方が高ければ、その差額分には社会保険料がかかるのです。
| 項目 | 税金(所得税・住民税) | 社会保険(健康保険・厚生年金) |
| 基準となるルール | 国税庁の通達(賃貸料相当額) | 厚生労働大臣の告示(現物給与の価額) |
| 計算の土台 | 固定資産税の課税標準額と床面積 | 都道府県別の1畳あたりの金額×居住用の部屋の畳数 |
| 社長がその額以上を払えば | 給与課税なし | 報酬への上乗せなし |
| 社長の負担が少ないと | 差額が給与として課税 | 差額が報酬に加算され保険料が増える |
| 見落としやすい点 | 評価替え(3年ごと)で再計算 | 告示額は毎年度見直される |
| [画像指示:同じマンションの一室について、税金用の「賃貸料相当額」と社会保険用の「畳数×都道府県別単価」の2本のモノサシを並べて比較した図解イラスト / キャプション:税金と社会保険では社宅の評価方法が違うため、同じ自己負担額でも結果が変わります] |
社会保険料が下がるのは「4か月目から」
役員報酬を下げても、社会保険料はすぐには下がりません。随時改定とは、固定的な給与が変わり、その後3か月の平均で保険料の区分(等級)が2段階以上変わったときに、4か月目から保険料を見直す仕組みのことです。社宅の導入と同時に報酬を下げた場合、年金事務所への「月額変更届」の提出が必要になるかを必ず確認してください。
| 税理士の実務視点 当事務所に寄せられるご相談でも、「社宅にしたのに社会保険料がほとんど変わらない」という声は少なくありません。原因の多くは、社会保険の現物給与の計算を見落としていること、または随時改定の手続き漏れです。 役員社宅は「税金の制度」と思われがちですが、実際には税金と社会保険の両方のルールを同時に満たして初めて効果が最大化する制度です。 |
役員社宅のメリット・デメリット
結論として、役員社宅は会社にも社長にもメリットがある一方、社会保険の給付や手続きの手間といったデメリットもあります。両方を比べたうえで判断しましょう。
| メリット | デメリット・注意点 | |
| 社長個人 | 所得税・住民税が減り、手取りが増える/健康保険料が下がる | 標準報酬が下がると、傷病手当金などの給付額も下がる/厚生年金の上限に達していない場合は、将来の年金額が減る |
| 会社 | 家賃を経費にできる/会社負担の社会保険料が下がる | 社宅規程の作成、契約・評価額の管理などの事務負担が増える |
| 税務調査 | ルールどおりなら指摘されない | 自己負担額の根拠がないと、差額が役員給与として課税される |
なお、厚生年金の保険料の上限(標準報酬月額の上限)は、2027年9月から段階的に引き上げられる予定です。現在は上限に達していて年金保険料が変わらない社長でも、今後は社宅の導入によって年金保険料と将来の年金額の両方が変わる可能性があります。
役員社宅を導入する6つのステップ
結論から言うと、役員社宅は「規程→物件→契約→計算→報酬改定→毎月の運用」の順番で進めます。特に報酬改定のタイミングを外すと、効果が1年先送りになります。
| STEP1 社宅規程をつくる 社宅の対象者、自己負担額の計算方法、会社と社長の費用負担の区分(家賃・光熱費・修繕費など)を規程にまとめ、取締役会などで決議します。 |
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| STEP2 物件を選ぶ・区分を確認する 床面積と建物の構造(耐用年数)から、「小規模な住宅」に当たるかを確認します。広さが基準を少し超えるだけで、負担額が家賃の50%以上に跳ね上がることがあります。 |
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| STEP3 会社名義で賃貸借契約を結ぶ 新規なら会社が契約者になります。今住んでいる部屋を社宅にする場合は、大家さんの承諾を得て契約名義を会社に変更します。 |
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| STEP4 賃貸料相当額を計算する 固定資産評価証明書を取得し、国税庁の計算式で社長の負担額を計算します。あわせて社会保険の現物給与の額も確認します。 |
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| STEP5 役員報酬を改定する 原則として事業年度開始から3か月以内に、株主総会などで役員報酬の改定を決議します。議事録も必ず残しましょう。 |
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| STEP6 毎月の給与で自己負担額を差し引く 社長の負担額は給与から差し引き、会社の帳簿に記録します。報酬改定後3か月の平均で等級が2段階以上変われば、月額変更届を提出します。 |
税務調査で指摘されやすい実務上の罠
結論として、役員社宅の失敗の多くは「タイミング」「負担の範囲」「記録」の3つから生まれます。
罠① 期の途中で役員報酬を下げてしまう
定期同額給与とは、毎月同じ金額で支払われる役員報酬のことで、原則としてこの形でないと会社の経費になりません。報酬の金額を変えられるのは、原則として事業年度開始から3か月以内です。社宅を始めたからといって期の途中で報酬を下げると、増額・減額の扱いをめぐって経費性が問題になるおそれがあります。
罠② 光熱費・家具・家電まで会社で払う
社宅として非課税で扱えるのは、あくまで「住まいを貸すこと」です。電気・ガス・水道などの光熱費や、私物としての家具・家電、駐車場代などを会社が負担すると、その分は社長への給与として課税されます。
罠③ 初期費用の処理を間違える
会社名義で契約すると、初期費用も会社が支払います。仲介手数料は支払った年度の経費になりますが、敷金は戻ってくるお金なので資産です。また、20万円以上の礼金は「繰延資産」として、5年(契約期間が5年より短ければその期間)で分けて経費にします。なお、住宅の家賃には消費税がかからないため、消費税の計算で差し引くことはできません。
| 【要注意】社長の負担がゼロ・少なすぎる社宅は「給与」になる 社長から家賃を受け取っていない、または計算の根拠がない少額しか受け取っていない場合、税務調査で賃貸料相当額との差額が役員給与と判断されます。 その結果、社長個人に源泉所得税がかかり、会社には不納付加算税が課されることがあります。さらに社会保険でも、現物給与の届出漏れとして保険料をさかのぼって請求される可能性があります。 「誰がいくら負担するか」を規程と計算表で説明できる状態にしておくことが、最大の防御策です。 |
シミュレーション:家賃20万円のマンションを役員社宅にした場合
結論から言うと、下の前提では、社長個人の手取りが年約69万円、会社の負担が年約11万円減り、合計で年約80万円の効果になります。具体的な数字で確認しましょう。
前提条件
- 東京都内の鉄筋コンクリート造マンション、床面積70㎡(小規模な住宅に該当)、家賃月20万円
- 固定資産税の課税標準額(その部屋の持分):建物600万円、敷地400万円と仮定
- 社会保険の現物給与の単価は1畳あたり2,830円、居住用の部屋は20畳と仮定
- 社長は50歳。役員報酬は月80万円(年960万円)で、家賃は個人で払っている
- 社宅導入にあわせて期首に役員報酬を月62万円に改定(会社の支出総額をほぼ同じに保つ設計)
- 健康保険・介護保険の料率は労使合計約11.5%(本人約5.75%)と仮定。数値は分かりやすさを優先した概算です
① 社長が負担する家賃(賃貸料相当額)
| 計算項目 | 計算式 | 月額 |
| 建物部分 | 600万円×0.2% | 12,000円 |
| 床面積部分 | 12円×70㎡÷3.3㎡ | 約255円 |
| 敷地部分 | 400万円×0.22% | 8,800円 |
| 合計(社長の負担額) | 約21,055円 |
家賃20万円に対して、社長の負担は約2.1万円(家賃の約1割)です。残りの約17.9万円は会社が負担しても、社長への給与にはなりません。
② 社会保険の報酬の変化
社会保険の現物給与は「2,830円×20畳=56,600円」です。社長の負担額21,055円を差し引いた35,545円が報酬に上乗せされるため、社会保険上の報酬は「62万円+35,545円=約65.6万円」となります。
| 項目 | 導入前 | 導入後(実際) | 現物給与を見落とした場合の見込み |
| 社会保険上の報酬 | 80万円 | 約65.6万円 | 62万円 |
| 健康保険の標準報酬月額 | 79万円 | 65万円 | 62万円 |
| 厚生年金の標準報酬月額 | 65万円(上限) | 65万円(上限) | 62万円 |
見込みと実際では健康保険の等級に差が出るうえ、厚生年金はもともと上限に達しているため保険料が変わりません。「社会保険料がもっと下がるはず」と考えていると、ここで期待とのズレが生まれます。
③ 年間の効果
| 項目 | 計算の考え方 | 年間の効果 |
| 給与所得の減少 | 年960万円→744万円(給与所得765万円→約559.6万円) | 約205.4万円減 |
| 課税所得の減少 | 上記から、社会保険料控除の減少分(約9.7万円)を差し引き | 約195.7万円減 |
| 所得税(復興特別所得税込み) | 約195.7万円×20.42% | 約40.0万円減 |
| 住民税 | 約195.7万円×10% | 約19.6万円減 |
| 健康保険料(本人分) | (79万円−65万円)×5.75%×12か月 | 約9.7万円減 |
| 社長個人の手取り増加 | 約69.3万円 | |
| 健康保険料(会社負担分) | 本人分と同額 | 約9.7万円減 |
| 会社の支出総額 | 年960万円→744万円+家賃240万円−社長負担約25.3万円 | 約1.3万円減 |
| 会社の負担減少 | 約11.0万円 | |
| 合計の効果 | 年約80万円 |
| 【シミュレーションから分かること】 社長の生活(住む部屋も、家賃を除いて自由に使えるお金も)はほぼ変わらないまま、年約80万円、5年続ければ約400万円の差になります。 一方で、効果の大半は所得税・住民税によるもので、社会保険料の削減は限定的です。社会保険の現物給与を織り込んで試算しないと、効果を過大に見積もってしまいます。 所得が高く税率の高い社長ほど効果は大きくなり、逆に役員報酬が低い場合は効果が小さく、年金額の減少などのデメリットが上回ることもあります。 |
よくある質問(FAQ)
Q. 社長1人の会社でも、役員社宅は使えますか?
A. 使えます。役員社宅は会社の規模や役員の人数に関係なく利用できます。ただし、社長1人の会社ほど「会社のお金と個人のお金の区別」を厳しく見られるため、社宅規程の作成、会社名義の契約、計算根拠の保存を必ず行ってください。
Q. 今住んでいる賃貸マンションを、そのまま社宅にできますか?
A. できます。大家さんや管理会社の承諾を得て、契約名義を個人から会社に変更します。名義変更の際に新たな契約扱いとなり、礼金や手数料がかかる場合があるため、事前に確認しましょう。社長個人が所有している自宅を会社に貸して社宅にする方法もありますが、会社から受け取る家賃は社長の不動産所得になるため、効果は別途試算が必要です。
Q. 固定資産税の課税標準額が分からない場合はどうすればよいですか?
A. 借主である会社が、賃貸借契約書を持参して市区町村(東京23区は都税事務所)で固定資産評価証明書などを取得するのが確実です。どうしても取得できない場合、借り上げ社宅であれば家賃の50%を社長が負担すれば税務上の問題は生じませんが、その分節税効果は小さくなります。
Q. 期の途中から社宅に切り替えることはできますか?
A. 社宅の利用自体は期の途中からでも始められます。ただし、役員報酬の減額は原則として事業年度開始から3か月以内に行う必要があります。期の途中で始める場合は報酬を据え置いたまま社宅を開始し、次の期首に報酬を改定するのが安全な進め方です。具体的な進め方は、必ず税理士と相談してから決めてください。
Q. 光熱費や家具、駐車場代も会社で負担できますか?
A. 会社が負担すること自体はできますが、その分は社長への給与として課税されます。社宅として非課税になるのは住まいそのものの家賃部分だけです。社宅規程で「会社が負担するもの」と「社長が負担するもの」をはっきり分けておきましょう。
まとめ:役員社宅は「税金と社会保険をセットで設計」が成功の鍵
| 【3行まとめ】 1.役員社宅は、会社が家賃を払い、社長は国税庁の計算式による「賃貸料相当額」だけを負担することで、合法的に手取りを増やせる方法です。 2.税金と社会保険では社宅の評価方法が違うため、社会保険料は税金ほど下がりません。現物給与を織り込んだ試算が欠かせません。 3.役員報酬の改定は期首から3か月以内が原則。社宅規程・会社名義の契約・報酬改定をセットで、次の期首に向けて準備しましょう。 |
役員社宅は、仕組みそのものはシンプルですが、「税金の通達」「社会保険の告示」「役員報酬のルール」という3つの制度が重なり合う分野です。どれか一つでも見落とすと、効果が小さくなるだけでなく、税務調査や年金事務所の調査で思わぬ請求を受けることにもなりかねません。
当事務所には、国税の調査実務を内側から知る国税OBの税理士が在籍しており、調査官が社宅のどこを確認するのかを踏まえた規程づくりと計算根拠の整備をお手伝いしています。さらに、税理士と社会保険労務士が同じ事務所で連携しているため、所得税・法人税の節税効果と、社会保険料・将来の年金額への影響を一度に試算し、社長にとって本当に得になる役員報酬と社宅の組み合わせをご提案できます。定期的な巡回監査を通じて、評価替えの年の再計算や毎月の運用まで継続して支えます。
| 税務の判断は個々の状況によって異なります。自己判断で損をする前に、お気軽に当事務所へご相談ください。 「役員報酬の手取りを増やしたい」「今の住まいを社宅にできるか知りたい」——次の期首を迎える前のご相談が、最も大きな効果を生むタイミングです。初回のご相談はオンラインでも承っています。 |
