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中学生でも分かる「会社の売り買い」の仕組みと中小企業の後継ぎ問題
「M&Aって最近よく聞くけど、結局なにをすることなの?」——そう感じたことはありませんか。会社が会社を買う、というニュースは目にしても、その中身は意外と説明されていません。
結論からお伝えすると、M&Aとは「会社を買う・売る・合体させる」ことです。この記事を読めば、M&Aの基本的な仕組みから、なぜ多くの中小企業がM&Aを選ぶのか、その理由まで、専門知識がなくても完全に理解できるようになります。
M&Aとは、ひとことで言うと
M&Aとは、ある会社が別の会社を「買う」「売る」、または複数の会社が「合体する」ことです。英語のMergers(合併)とAcquisitions(買収)の頭文字を取った言葉で、会社という「モノ」を売り買いする取引全般を指します。
たとえば、あなたが小さなパン屋さんを経営していて、となり町の人気ケーキ屋さんを丸ごと買い取るとします。看板もお店もお客さんも、そのままあなたのものになる——これがM&Aの最もシンプルな形です。
身近な例で理解する2つのパターン
M&Aには大きく分けて「買収」と「合併」の2つの形があります。どちらも複数の会社が1つの経済圏になるという点は同じですが、方法が異なります。
| 種類 | 仕組み | 身近なたとえ話 |
| 買収(Acquisition) | 会社Aが会社Bを買って、自分の子会社にする | パン屋がケーキ屋を買収し、看板は残したまま自社グループに入れる |
| 合併(Merger) | 会社Aと会社Bが1つの会社になる | パン屋とケーキ屋が合体して「新・お菓子屋さん」という1つの会社になる |
[画像指示:買収と合併の違いを表すシンプルな図解イラスト(矢印で会社が合体・吸収される様子)/キャプション:M&Aには「買収」と「合併」の2つの形がある]
なぜ会社はM&Aをするのか
結論として、会社がM&Aをする最大の理由は「時間を買う」ためです。
自分でゼロから何かを始めるには、時間もお金もかかります。すでにお店の場所や常連客を持っている会社を買えば、その苦労をショートカットできます。M&Aは大きく分けて次の2つの目的で使われます。
① 攻めのM&A(成長のため)
- 新しい地域や事業分野に、ゼロから挑戦するのではなく、すでにその分野で実績のある会社を買うことで、短期間で事業を拡大できます。
② 守りのM&A(会社を存続させるため)
- 後継ぎがいない社長さんが、自分の会社を他の会社に売ることで、従業員の雇用と会社の看板(事業)を守ってもらいます。
[画像指示:「攻めのM&A」と「守りのM&A」を対比させるシンプルなアイコン図解/キャプション:M&Aには成長のための攻めと、会社存続のための守りの2つの目的がある]
中小企業にとってのM&A(事業承継という視点)
近年、中小企業のM&Aで急増しているのが「後継者がいない」という理由によるものです。これを事業承継M&Aと呼びます。事業承継とは、経営者が会社の経営を次の世代に引き継ぐことを指します。
事業承継には大きく3つの道があります。次の図をご覧ください。
【事業承継の3つの道】
① 親族内承継 → 息子・娘などの親族に会社を継がせる
② 従業員承継 → 右腕として働く社員に会社を継がせる
③ M&A(第三者承継) → 社外の会社や個人に会社を売り、経営を引き継いでもらう
[画像指示:事業承継の3つの道(親族内・従業員・M&A)を分岐する矢印で示すフローチャート/キャプション:後継者不在の解決策として、M&Aは第三の選択肢として国も後押ししている]
| 税理士の実務視点から見た結論 中小企業のM&Aは、大企業同士の派手な買収劇とは違い、「社長の引退後も会社と従業員を守るための選択肢の一つ」という位置づけが実態に近いものです。 親族内承継・従業員承継と並ぶ「第三の選択肢」として、国も税制優遇や補助金でM&Aによる事業承継を後押ししています。 |
M&Aの基本的な流れ(超シンプル版)
M&Aは、思いついたその日に成立するものではなく、いくつかの段階を踏んで進みます。全体像をつかんでおくだけでも、不安はぐっと減ります。
① 検討・相談 → ② 相手探し(マッチング) → ③ 秘密保持契約 → ④ トップ面談・条件交渉 → ⑤ デューデリジェンス(相手の会社の中身を確認) → ⑥ 最終契約 → ⑦ 引き継ぎ・統合
この中でも「デューデリジェンス」とは、買う側の会社が、売る側の会社の財務状況や契約関係、税務リスクなどを詳しく調べる作業のことです。ここで隠れた問題(簿外債務や未払残業代など)が見つかることも珍しくありません。
具体的なシミュレーション:小さな町工場のケース
たとえば、後継者のいない年商5,000万円の小さな町工場(社長個人が全株式を保有)を例に考えてみましょう。
| 項目 | 内容 |
| 会社の状況 | 年商5,000万円、従業員8名、社長が全株式(発行済株式100株)を保有 |
| 後継者の有無 | 社長の子どもは別の仕事に就いており、会社を継ぐ予定なし |
| 選んだ選択肢 | 同業の中堅企業への株式譲渡(M&A) |
| 譲渡価格の目安 | 純資産+営業利益の数年分(簡易的な目安として算出、実際は精緻な企業価値評価が必要) |
| 結果 | 従業員の雇用は維持されたまま、社長は引退。買い手企業の傘下で工場は存続 |
| 税理士の実務視点から見た結論 株式譲渡によるM&Aの場合、売り手である社長個人には株式譲渡益に対して税金がかかります。譲渡益(譲渡価格-取得費等)に対し、原則として20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)の申告分離課税が適用されます。 廃業して会社をたたむ場合と比較すると、譲渡益に課税されるとはいえ、従業員の雇用維持や設備・取引先との関係を継続できる点で、経営者・従業員双方にとってメリットの大きい選択肢となるケースが多く見られます。 |
よくある質問(FAQ)
Q1. M&Aは大企業だけがやるものですか?
いいえ、違います。むしろ現在、日本国内で最も件数が増えているのは、後継者不在に悩む中小企業のM&Aです。従業員数名〜数十名規模の会社同士の取引が数多く成立しています。
Q2. M&Aをすると、従業員はクビになりますか?
必ずしもそうではありません。多くの中小企業M&Aでは、むしろ従業員の雇用継続が取引の重要な条件として盛り込まれます。買い手企業にとっても、経験を持つ従業員は貴重な財産だからです。
Q3. 会社を売ると、社長個人にお金が入るのですか?
はい。株式譲渡という方法でM&Aを行った場合、株式を保有していた社長個人が買い手から売却代金を受け取ります。ただし、その譲渡益には税金がかかりますので、事前の試算が重要です。
Q4. M&Aの相談は、会社が儲かっていないとできませんか?
赤字であっても相談は可能です。ただし、譲渡価格や買い手の見つかりやすさには影響します。早めに相談するほど、選択肢の幅は広がります。
Q5. M&Aにはどれくらいの期間がかかりますか?
案件によって幅がありますが、検討開始から最終契約まで半年〜1年半程度かかるケースが一般的です。相手探しやデューデリジェンスに時間を要するため、早期の準備が望まれます。
まとめ:会社を守り、成長させるための選択肢として
- M&Aとは、会社を「買う」「売る」「合体させる」ことであり、成長のためにも会社存続のためにも活用される
- 中小企業では、後継者不在を解決する「第三の事業承継の道」として、M&Aの活用が急増している
- M&Aは検討から成立まで時間がかかるため、早めの情報収集と専門家への相談が結果を大きく左右する
税務の判断は個々の状況によって異なります。自己判断で損をする前に、お気軽に当事務所へご相談ください。
