⚠ 7月10日の納付期限に注意!

源泉所得税の「納期の特例」完全ガイド

〜 対象条件・申請方法・注意点まで中学生でもわかるようにやさしく解説 〜

公開日:2026年7月 | 対象:個人事業主・中小企業の経営者・経理担当者

📌 この記事でわかること

✅ 従業員10人未満の会社・個人事業主は毎月の納付が年2回にまとめられる!

✅ 1〜6月分の源泉所得税は 7月10日 が納付期限(要注意!)

✅ 申請書1枚で手続きOK。e-Taxでも提出可能

✅ 延滞・不納付加算税を防ぐためのポイントも完全網羅

このページの目次

第1章 源泉所得税とは?まずキホンを確認しよう

「源泉所得税」という言葉を聞いたことはありますか?むずかしそうに聞こえますが、ひとことで言うと「会社が従業員の代わりに給与から税金を天引きして国に納める仕組み」です。

たとえば月給30万円の人がいたとします。会社はその中からあらかじめ所得税を計算して差し引き、残りの金額を手取りとして渡します。差し引いた税金は会社がまとめて税務署に納付します。これが「源泉徴収」のしくみです。

源泉所得税の「通常」の納付ルール

源泉所得税は原則として、給与を支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。

支払い月通常の納付期限
1月2月10日1月給与 → 2月10日までに納付
2月3月10日2月給与 → 3月10日までに納付
3月4月10日3月給与 → 4月10日までに納付
(以下 毎月繰り返し)
12月翌年1月10日12月給与 → 翌年1月10日までに納付

このように、通常は毎月10日に納付手続きをしなければなりません。経理担当者にとっては大きな負担です。そこで登場するのが「納期の特例」制度です。

第2章 納期の特例とは?わかりやすく解説

「源泉所得税の納期の特例」とは、一定の条件を満たす事業者が申請することで、毎月の納付を年2回にまとめることができる制度です。国税庁が認めた、いわば「まとめ払いOK制度」です。

通常の納付 vs 納期の特例

項目通常(原則)納期の特例
納付回数毎月(年12回)年2回
納付期限翌月10日7月10日・翌年1月20日
対象期間前月1か月分前6か月分
手続きの手間毎月あり(大変)半年ごと(楽)
対象者すべての源泉徴収義務者常時10人未満の事業者

納期の特例の納付スケジュール

納期の特例が適用されると、下記のスケジュールで納付します。

対象期間納付期限注意点
1月〜6月分7月10日(月)まで⚠ 毎年必ず確認を!
7月〜12月分翌年1月20日まで年末年始にかかるため要注意

土日祝日のズレに注意

7月10日・1月20日が土日祝日の場合は、翌営業日(平日)が納付期限になります。

必ずカレンダーで確認し、余裕をもって納付手続きを行いましょう。

申請から適用開始までの流れ

申請書を提出した月の翌月から特例が適用されます。たとえば8月に申請書を出すと、8月分は通常どおり9月10日に納付し、9月〜12月分をまとめて翌年1月20日に納付することになります。

STEP内容ポイント
給与支払い毎月従業員へ給与を支給
源泉所得税を天引き源泉徴収税額表で計算
6か月分をまとめて納付1〜6月分:7月10日 / 7〜12月分:翌年1月20日
所得税徴収高計算書を提出税務署または e-Tax

第3章 誰が使える?対象条件を確認しよう

納期の特例は、すべての事業者が使えるわけではありません。以下の2つの条件を両方満たす必要があります。

適用条件

納期の特例の適用条件(両方必要)

条件① 給与の支給人員が常時10人未満であること

条件② 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出していること

「常時10人未満」ってどういう意味?

「常時」とは、平常の状態での人数を指します。繁忙期や季節ごとに一時的にアルバイトや派遣社員を雇っても、その臨時の人を除いた通常の人数が10人未満であれば条件を満たします。

ケース人数のカウント特例の利用
通常5人、夏季のみ+3人(計8人)5人(通常時)○ 利用可能
通常8人、繁忙期+3人(計11人)8人(通常時)○ 利用可能
通常10人(増減なし)10人✕ 利用不可
通常12人12人✕ 利用不可

10人以上になったら?届出が必要

事業拡大などで給与の支給人数が常時10人以上になった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を速やかに税務署へ提出しなければなりません。

🚨 注意

⚠ 要件を満たさなくなっても、自動では適用が外れません!

届出を出さないままにしていると、本来毎月納付すべき税額が蓄積されるリスクがあります。

気づいたらすぐに税務署へ届出を提出してください。

届出後の納付スケジュール(例:5月に届出提出の場合)

対象期間納付期限
1月〜5月分(届出提出月以前)6月10日(届出月の翌月10日)
6月以降の各月分翌月10日(通常の納期が復活)

第4章 対象になる所得・ならない所得

納期の特例はすべての源泉所得税に適用されるわけではありません。「対象になるもの」と「ならないもの」をしっかり把握しておきましょう。

✅ 対象になるもの

種類具体例
給与・賞与役員報酬・従業員の月給・ボーナスなど
退職金退職手当・一時恩給など
一定の士業への報酬下記の士業に支払う報酬・料金

一定の士業への報酬として対象になる職種:

  • 税理士・弁護士・司法書士
  • 公認会計士・社会保険労務士・弁理士
  • 建築士・土地家屋調査士・測量士
  • 不動産鑑定士・技術士・海事代理士 など

❌ 対象外のもの

以下の所得は、納期の特例の対象外です。これらは通常どおり翌月10日までに納付が必要です。

種類具体例
原稿料・講演料ライターへの原稿料、講師への講演料
芸能人・スポーツ選手への報酬タレントの出演料、プロ野球選手の契約金
モデル・外交員への報酬モデル撮影の謝礼、保険外交員への手数料
配当金株式配当、投資信託分配金など
上記以外の士業への報酬デザイナー・コンサルタント・フリーランスなど

💡 よくある混同ポイント

たとえばフリーランスのデザイナーやライターへの報酬は対象外です。

これらは毎月翌月10日までに通常どおり納付が必要なため、混同しないよう注意しましょう。

第5章 メリット・デメリットを正直に解説

📈 納期の特例のメリット

メリット詳しい説明
事務負担が大幅に減る年12回 → 年2回の手続きに。経理担当者の作業コストが大幅削減。
資金を一時的に手元に置ける毎月納付しない分、半年間は資金を手元に残せる。資金繰りに余裕が生まれる。
納付忘れのリスクが減る納付回数が減れば、うっかり忘れる機会も減る(ただし、1回の重みが増す)。

📉 納期の特例のデメリット

デメリット詳しい説明
1回の納付額が大きくなる6か月分が一度に来るため、納付時に資金が不足するリスクがある。
7月・1月は支出が集中しやすい賞与・労働保険料など他の支払いと重なりやすい時期。
10人以上になると利用不可従業員が増えると制度を外れる必要がある。
対象外の税目は毎月納付が必要原稿料・外交員報酬などは特例の恩恵なし。

第6章 申請方法・ステップbyステップ

実際に納期の特例を受けるには、以下3ステップで申請します。

STEP 1 申請書を入手する

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(国税庁書式)を入手します。

  • 国税庁公式サイト(https://www.nta.go.jp/)からダウンロード可能
  • 最寄りの税務署の窓口でも無料で入手できます

STEP 2 申請書に記入する

以下の項目を記入します。記入ミスがないよう注意してください。

記入項目内容・注意事項
提出日・提出先提出する日付と、管轄税務署名を記入
納税地の住所事業所または自宅(個人事業主)の住所
屋号(なければ空欄)屋号がある場合のみ記入、なければ空欄
代表者の氏名法人は代表者名、個人事業主は氏名
法人番号法人のみ記入。個人事業主は空欄(個人番号は書かない)
過去6か月の給与支給人員・支給額申請月前6か月分を月別に記入
国税の滞納の有無滞納なしなら空欄でOK
過去1年以内の特例取消し年月日取消しなしなら空欄でOK

個人事業主の注意点

個人事業主の方へ:法人番号欄には「何も書かない」のが正解です。

間違えてマイナンバー(個人番号)を記入しないよう注意してください。個人番号の記載は不要です。

開業届と一緒に提出する場合

開業と同時に申請する場合は、開業届の「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」欄にも「有」と記載する必要があります。

また、開業時に合わせて提出が必要になりうる書類も確認しましょう。

  • 所得税の青色申告承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
  • 青色事業専従者給与に関する届出書(変更届出書)

STEP 3 税務署へ提出する

記入が完了したら、以下のいずれかの方法で管轄の税務署へ提出します。

提出方法特徴・注意
窓口へ直接持参平日8:30〜17:00。その場で受付確認ができる
郵送控えに受付印が欲しい場合は返信用封筒を同封
e-Tax(電子申告)24時間利用可能(メンテナンス日・月曜除く)。利用者識別番号の取得が必要

申請書には提出期限はありませんが、申請書を提出した月の翌月末日に承認があったとみなされ、その翌月分から特例が適用されます。なるべく早めに提出しましょう。

第7章 必ず知っておくべき注意点

注意点① 適用開始のタイミングを確認

会社設立と同時に申請書を提出しても、設立月の給与については特例が適用されません。設立月の源泉所得税は翌月10日までに通常どおり納付する必要があります。

イベント納付
4月会社設立・給与支払い開始
4月(同月)申請書を提出申請月
5月10日4月分の源泉所得税を通常納付(特例は未適用)
5月末承認とみなされる5月分から特例スタート
翌年1月20日5〜12月分をまとめて納付(特例適用)

注意点② 納付額が一度に大きくなる

たとえば月給15万円の従業員3人から毎月源泉徴収している場合、1か月分の源泉所得税額は約9,000円(概算)です。6か月分をまとめると約54,000円を一度に納付することになります。

7月は賞与・社会保険料の支払いが重なりやすく、1月は年末調整の精算もあります。この2つの時期に大きな税額の支払いが来ることを念頭に置き、あらかじめ資金を積み立てておくことが重要です。

注意点③ 延滞すると附帯税が課される

うっかり納付を忘れると、以下の附帯税が課されます。

附帯税の種類発生条件税率(概算)
不納付加算税税務署の調査・指摘後に納付本税の10%
不納付加算税(自主的)自分で気づいて納付本税の5%(軽減)
不納付加算税(免除)法定納期限から1か月以内に自主納付 かつ 納付意思ありと認められる場合免除
延滞税納期限を過ぎた場合年約7〜14%(年利)

🚨 もし忘れてしまったら

万が一忘れた場合は、すぐに自主的に納付することで不納付加算税を5%に抑えられる(または免除される)場合があります。

気づいたら迷わず速やかに税務署または金融機関窓口から納付手続きを行いましょう。

第8章 よくある質問(Q&A)

Q1. パートタイマーやアルバイトも人数に含まれますか?

A. 繁忙期のみ雇用する臨時のアルバイトは「常時」の人数には含まれません。

ただし、常時勤務しているパートタイマーは人数に含まれます。

「常時10人未満」かどうかは、平常時の状態で判断します。

Q2. 申請書の提出期限はありますか?

A. 申請書に明確な提出期限は設けられていません。

ただし、提出した月の翌月から適用されるため、なるべく早めの提出が有利です。

たとえば1月に提出すれば、2〜6月分をまとめて7月10日に納付することができます。

Q3. e-Taxで提出できますか?

A. はい、e-Taxから提出可能です。

初回利用時は「利用者識別番号」の取得が必要です。

e-Taxはメンテナンス日・月曜日を除き24時間利用可能で、窓口に行けない方に便利です。

Q4. 特例を取りやめることはできますか?

A. 「源泉所得税の納期の特例の廃止届出書」を提出することで、任意に取りやめることも可能です。

毎月のキャッシュフロー管理をしっかり行いたい場合や、会計システムと合わせたい場合などは通常の毎月納付に戻すことも一つの選択肢です。

第9章 まとめ〜制度を正しく使って事務負担を減らそう

源泉所得税の納期の特例は、従業員10人未満の中小企業・個人事業主にとって非常に有益な制度です。申請書1枚の手続きで、年間12回の納付業務が年2回に減ります。

ただし、以下の点は必ず押さえておいてください。

チェック項目確認内容
✅ 常時10人未満か確認繁忙期の臨時雇用は除いてカウント
✅ 申請書を提出済みか提出しないと特例は適用されない
✅ 7月10日の期限を認識1〜6月分の納期限。毎年カレンダー確認を
✅ 1月20日の期限を認識7〜12月分の納期限。年末年始に注意
✅ 対象外の税目は毎月納付原稿料・講演料等は特例外
✅ 10人以上になったら届出自動では外れないため届出が必須
✅ 納付資金の積立て半年分をまとめて備える仕組みをつくる

納期の特例をうまく活用して、経理業務の効率化と資金繰りの安定を両立させましょう。不明な点は税務署の窓口または税理士にお気軽にご相談ください。

📝 免責事項

本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。税法の改正などにより内容が変わる場合がありますので、最新の情報は国税庁公式サイトや税務署にてご確認ください。

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