■ はじめに
「アパート経営は相続税対策になる」とよく言われます。
実際、不動産は現金よりも相続税評価額が低くなりやすく、借入金は債務控除できるため、相続税を抑える効果が期待できます。
しかし、やり方を間違えると、かえって相続税が大きくなるケースもあります。
本記事では、実際によくある事例をもとに、その理由と注意点を分かりやすく解説します。
■ なぜ相続税が想定より高くなったのか?
① ローン残高が減っていた
アパートをローンで購入すると、借入金は相続税計算上「債務控除」の対象になります。
購入直後は借入金残高が大きいため、相続財産を大きく圧縮できます。
しかし、返済が進むと債務残高は減少します。
20年経過すれば、借入金はかなり減っている可能性が高く、控除できる金額も小さくなります。
結果として、不動産の評価額は残り、借金だけが減るため、相続財産は増えていきます。
② アパート経営が成功し、現金が増えていた
家賃収入が安定し、修繕費やローン返済を差し引いても現金が残る状態が続くと、当然ながら財産は増加します。
相続税は「増えた財産」に対して課税されます。
経営が順調であればあるほど、相続税の課税対象額も増えていきます。
③ 自宅を売却し、現金で保有していた
不動産は「財産評価基本通達」に基づき評価され、通常は時価より低く評価されます。
一方、現金は額面そのまま100%評価です。
自宅を売却して現金化すると、評価圧縮効果がなくなり、相続財産が増加することになります。
■ アパート経営による相続対策の本質
アパート経営は「節税商品」ではありません。
あくまで「資産運用」です。
不動産投資が成功すれば財産は増えます。
財産が増えれば相続税も増えます。
つまり、
「相続税を減らすこと」と「資産を増やすこと」は常にバランスで考える必要があります。
■ 失敗しないための3つのポイント
1. 定期的に相続税試算を行う
3年~5年ごとに財産状況を見直し、税額をシミュレーションすることが重要です。
2. キャッシュ比率を管理する
現金が増えすぎていないかを確認し、必要に応じて追加投資や生前贈与を検討します。
3. 二次対策を準備しておく
一度対策したら終わりではありません。
状況に応じて「二の矢」「三の矢」を打つことが重要です。
■ まとめ
アパート経営は相続対策として有効になる場合があります。
しかし、それは「継続的に管理した場合」に限られます。
・ローン残高の推移
・家賃収入による資産増加
・現金比率の変化
これらを定期的にチェックしなければ、想定外の相続税が発生する可能性があります。
相続対策は一度きりの作業ではありません。
資産管理と税務戦略をセットで考えることが、失敗しない最大のポイントです。
