消費税の本則課税と簡易課税を中学生でもわかるように解説

【はじめに】

消費税は、私たちが買い物をするときに必ず支払っている税金です。しかし、実際にその消費税を国に納めるのは、商品やサービスを提供した事業者です。

その計算方法には
① 本則課税(ほんそくかぜい)
② 簡易課税(かんいかぜい)
という2種類があります。

どちらも「売上に含まれる消費税」と「仕入で支払った消費税」のバランスを計算するものですが、仕組みが大きく違います。

この記事では、両方の制度を中学生でも分かるようにやさしく解説し、どんな事業者がどちらを選ぶとよいのかについても丁寧に紹介します。


【本則課税とは】

本則課税は、消費税の「標準的な計算方法」であり、すべての事業者が原則としてこの方法を使う制度です。

◆ どんな仕組み?

売上に含まれる消費税(預かった税金)から
仕入や経費で支払った消費税(払った税金)を引くことで納付税額を計算します。

◆ 計算式

納付税額 = 売上の消費税 - 仕入・経費の消費税

◆ 本則課税の例

  • 売上 1,100万円(消費税100万円を含む)
  • 仕入 550万円(消費税50万円を含む)

納める税金 = 100万円 − 50万円 = 50万円

実際に領収書や請求書をもとに「仕入税額控除」を計算するため、とても正確な制度です。


【図:本則課税の流れ】

(Wordファイル内に画像が挿入されています)


【簡易課税とは】

簡易課税は、小規模事業者向けに計算を簡単にするための制度です。

実際の仕入にかかった消費税を計算せず、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って、控除できる消費税を機械的に求めます。

◆ 利用できる条件

  • 前々年の課税売上高が5,000万円以下
  • 事前に「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出している

◆ 業種別みなし仕入率

業種みなし仕入率
卸売業90%
小売業80%
製造業など70%
飲食店など60%
サービス業50%
不動産業40%

◆ 簡易課税の計算式

控除税額 = 売上の消費税 × みなし仕入率

納付税額 = 売上の消費税 − 控除税額

◆ 簡易課税の例

  • 売上に含まれる消費税:100万円
  • 業種:飲食店(みなし仕入率 60%)

控除税額 = 100万円 × 60% = 60万円
納付税額 = 100万円 − 60万円 = 40万円

実際の仕入を使わないため、計算は本則よりずっと簡単です。


【図:簡易課税の流れ】

(Wordファイル内に画像が挿入されています)


【本則課税と簡易課税の比較】

◆ 本則課税の特徴

  • 実際の仕入に基づいて計算
  • 帳簿・領収書の管理が必須
  • 正確で実態に合った税額になる

◆ 簡易課税の特徴

  • みなし仕入率で計算するので簡単
  • 実際の仕入が少ない業種だと有利になる場合がある
  • ただし、売上が5,000万円を超えると使えない

【どちらを選ぶと有利?】

● 本則課税が有利なケース

  • 仕入が多い業種(製造業、卸売業など)
  • 実際に支払っている消費税が多い事業者
  • きちんと帳簿を管理できる事業者

● 簡易課税が有利なケース

  • 仕入が少ない業種(コンサル、サービス業など)
  • 経費より売上のほうが大きいビジネスモデル
  • とにかく計算を簡単にしたい場合

【まとめ】

本則課税と簡易課税は、どちらが優れているというより、「事業の特徴によって使い分けるべき制度」です。

  • 仕入が多いなら本則課税
  • 仕入が少ないなら簡易課税
  • 前もって届出が必要なのは簡易課税
  • 正確な計算が必要なのが本則課税

事業内容・売上構造・仕入の多さなどを総合的に判断して選択することが大切です。

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