税務調査の知識 白色申告の税務調査

申告納税制度

我が国の税制は、納税者自らが自分の収入、支出、財産、税額等を計算して申告・納税する申告納税制度が採用されています。

申告納税制度の下では、納税者が正しく自分の税金を計算して適正に申告することが重要ですが、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする納税者については、税金の計算なにおいて有利な取扱いが受けられる青色申告制度があります。

青色申告・白色申告とは

青色申告を選択する場合には、青色申告特別控除、欠損金の繰り越し、少額減価償却資産の損金算入などといった税金計算上の大きな特典を受けることができるメリットがあります。

ただし、こうした青色申告制度の各種特典を受けるためには要件があり、日々の経理については原則として複式簿記を採用するほか、総勘定元帳、現金出納帳、売上帳、仕入帳などといった帳簿の記帳を保存をするなど、申告納税制度が正しく機能するために経理の正確性と透明性が求められています。

経理に関する作業量も多くなりがちな点がデメリットとも言えますが、青色申告のメリットは非常に大きいため、法人の大半、また、一定規模以上の個人事業主は青色申告を選択しています。

一方、白色申告を選択する場合には、青色申告のような税金計算上の特典を受けることはできませんが、日々の経理については、簡易な簿記により行うことができますので、経理に関する作業量は青色申告に比べて少ないというメリットがあります。(帳簿の記帳義務はあります。)

したがって、経理担当者がいない小規模な個人事業主の場合などは、経理が簡単な白色申告を選択しているケースが比較的多いと考えます。

推計課税に注意

白色申告を選択する場合は、日々の経理に関する作業が楽というメリットがありますが、本業に追われて経理は後回しとなりがちで、売上や仕入に関する資料もしっかりと保存されていないケースも多く見受けられるのが現状です。

白色申告の最大のデメリットは、このように資料の保存が適切に行われていない場合、税務調査において推計課税され、本来必要のない税金まで納税しなければならない恐れがあることです。

具体例を挙げますと、例えば、税務調査において、過去の売上金額が判明する資料が破棄されているため、正確な売上金額の把握が不可能な場合に、資料が破棄されず残っていた最近3ヶ月の売上実績を基準にして過去の売上金額を推計されてしまうケースがあります。

推計計算の基準となった最近3ヶ月の売上がたまたま好調であった場合には、その金額を基準にして過去まで遡って推計されてしまうと、実際の売上金額よりも高い金額となり、結果として必要のない税金まで納税しなければならなくなります。

推計の方法は、このほかにも、仕入金額や数量等から売上金額を計算する方法、同規模同業者の利益率などを基準に計算する方法、実際の生活費の支出状況を基準に申告すべき利益を計算する方法など、ケースに応じて最も合理的な方法により行われます。

推計課税は、白色申告を選択している納税者に限り行われるものですが、青色申告を選択している納税者であっても請求書や領収証等の保存が不十分である場合には、青色申告の要件を満たしていないということで、青色申告の承認を取り消された上で推計課税を受ける恐れがありますので、請求書等の保存は適切に行う必要があります。   

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