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「生前贈与」は今も毎年110万円まで非課税? 改正後の「7年持ち戻し」への正しい相続対策

最終更新日:2025年 / カテゴリ:相続・贈与対策

「毎年110万円まで贈与すれば相続税がかからない」——そう聞いたことはありませんか? 実は2024年から税法が大きく変わり、この「常識」はそのままでは通用しなくなっています。  この記事では、改正後の生前贈与のルールを「中学生でもわかる言葉」で徹底解説します。 読み終わる頃には、「何をすべきか」の具体的な答えが見つかるはずです。
📷 【画像挿入箇所】 祖父母から孫・子への贈与のイメージ図解。カレンダーに「毎年110万円」と書かれ、左に旧ルール(3年)右に新ルール(7年)の比較矢印が描かれたイラスト キャプション:生前贈与ルールの新旧比較:3年から7年への「持ち戻し」延長のイメージ

このページの目次

第1章|そもそも「生前贈与」って何? —— 超基本から確認

1-1. 贈与税の基本:110万円の「非課税枠」とは

生前贈与とは、「亡くなる前(生きている間)に財産を誰かに渡すこと」です。

日本では、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税がかかりません。この110万円のことを「基礎控除」と呼びます。

【身近な例えで理解する】 お父さんが子どもに「お小遣い」として毎年100万円渡す、というイメージです。 110万円を超えなければ、子どもは税務署に申告する必要も、税金を払う必要もありません。 この仕組みを使って、少しずつ財産を子や孫に移すのが「暦年贈与」という節税策です。

1-2. なぜ生前贈与が節税になるの?

相続税は、亡くなった時の「財産の総額」に対してかかります。

つまり、生きている間に財産を少しずつ渡しておけば、亡くなった時の財産が減る→相続税が安くなる、という仕組みです。

項目生前贈与なし毎年100万円×10年間 贈与した場合
相続財産1億円1億円 − 1,000万円 = 9,000万円
相続税の目安(子1人)約1,220万円約985万円
節税効果約235万円の削減

※上記は概算であり、個人の状況により異なります。

第2章|2024年改正で何が変わった? —— 「7年持ち戻し」を徹底解説

📷 【画像挿入箇所】 タイムライン上に「死亡日」を右端に置き、左に向かって「7年前」まで矢印が伸びる図解。旧ルール(3年)と新ルール(7年)が色分けで示され、持ち戻しゾーンがハイライトされている キャプション:贈与の「持ち戻し期間」が3年から7年へ延長されたことを示すタイムライン図

2-1. 「持ち戻し」ってどういう意味?

「持ち戻し」とは、一度渡した贈与財産を「なかったことにして、相続財産に戻す」ルールです。

これが適用されると、せっかく渡した贈与財産が相続税の計算に含まれてしまい、節税効果が消えてしまいます。

【例え話で理解する「持ち戻し」】  友達に「これあげる」とリンゴを渡したのに、後から「やっぱりカウントし直すね」と言われるイメージです。 税務署は「亡くなる前の一定期間に渡した財産は、相続財産と同じように税金をかけます」というルールを持っています。

2-2. 旧ルール(〜2023年12月31日まで):「3年持ち戻し」

改正前は、亡くなる前「3年以内」の贈与だけが持ち戻しの対象でした。

期間取り扱い
亡くなる3年より前の贈与相続財産に含まれない(節税効果あり)
亡くなる3年以内の贈与相続財産に加算される(節税効果なし)

2-3. 新ルール(2024年1月1日以降):「7年持ち戻し」への延長

2024年1月1日以降に行われた贈与については、亡くなる前「7年以内」の贈与が持ち戻し対象に拡大されました。

期間新ルールでの取り扱い
亡くなる7年より前の贈与相続財産に含まれない(節税効果あり)
亡くなる4〜7年前の贈与相続財産に加算(ただし合計100万円まで控除あり)
亡くなる3年以内の贈与全額、相続財産に加算される

重要なポイント:「延長4年分」には100万円の緩和措置がある

新たに延長された「4〜7年前」の期間については、その期間の贈与合計額から100万円を差し引いた金額だけが加算されます。  例:亡くなる5年前に毎年50万円×4回(計200万円)贈与していた場合   → 200万円 − 100万円 = 100万円 が相続財産に加算

2-4. 段階的な移行期間に注意! ——「いつからの贈与が何年持ち戻し?」

新ルールは「2024年1月1日以降の贈与」から適用されます。経過措置として、しばらくの間は持ち戻し期間が段階的に延長されます。

相続発生時期持ち戻し対象期間注意点
〜2026年12月31日3年以内(旧ルールと同じ)2024年以降の贈与のみ対象
2027年1月1日〜4年以内経過期間中
2028年1月1日〜5年以内経過期間中
2029年1月1日〜6年以内経過期間中
2030年12月31日以降〜7年以内(完全移行)全額新ルール適用

※相続が実際に発生するタイミングと贈与を行った時期の両方で判断されます。専門家への確認を強くお勧めします。

第3章|「相続時精算課税制度」も大きく変わった!

3-1. 相続時精算課税とは?

「相続時精算課税」は、通常の暦年贈与とは別のルートで贈与を受ける制度です。

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に使えます(選択制)。

項目暦年課税(通常)相続時精算課税
非課税枠(年間)110万円110万円(2024年から新設)+累計2,500万円
超えた場合の税率10〜55%(累進)一律20%
相続時の扱い7年以内分が加算全額が相続財産に加算(ただし毎年110万円は除外)
一度選択したら変更可能取り消し不可

3-2. 2024年改正で相続時精算課税に「年間110万円の非課税枠」が追加!

2024年から相続時精算課税を選択した人も、年間110万円まで非課税で贈与でき、しかもこの110万円分は相続財産への加算対象外になりました。

【改正ポイントのまとめ】  相続時精算課税を選択した場合: 毎年110万円まで → 贈与税ゼロ & 相続税への加算もゼロ(完全に節税効果あり) 110万円を超えた部分 → 累計2,500万円まで非課税(ただし相続時に加算される)

第4章|具体的なシミュレーション —— 「7年持ち戻し」でどれだけ影響が出る?

📷 【画像挿入箇所】 3つのケース(ケースA・B・C)を横並びで比較した図解。それぞれの贈与パターン、持ち戻し金額、相続税への影響を視覚的に示す キャプション:贈与パターン別・相続税への影響シミュレーション比較図

ケースA:毎年100万円を10年間贈与し、贈与終了の翌年に亡くなった場合

前提: 相続財産2億円、子ども1人、10年間で計1,000万円を贈与

項目旧ルール(3年持ち戻し)新ルール(7年持ち戻し)
持ち戻し対象贈与300万円(3年×100万円)700万円(7年×100万円)
相続財産(課税対象)2億円 − 1,000万円 + 300万円 = 1億9,300万円2億円 − 1,000万円 + 700万円 − 100万円 = 1億9,600万円
相続税の目安約4,460万円約4,520万円
差額(増加額)約60万円増

※実際の相続税額は法定相続人の数、その他の事情により変動します。

ケースB:贈与開始から7年以内に亡くなった場合(最も影響が大きいケース)

前提: 相続財産2億円、毎年110万円ずつ贈与を始めて5年後に死亡

期間贈与額持ち戻し(新ルール)
5年前〜4年前(延長分)110万円×2年=220万円220万円 − 100万円=120万円を加算
3年前〜死亡(旧来分)110万円×3年=330万円330万円を全額加算
合計550万円を贈与450万円が相続財産に加算
【このケースの教訓】  「早めに贈与を始めることが重要」です。 贈与を開始してから7年以上経過した部分だけが、完全に相続財産から切り離されます。 70代以降に慌てて始めると、節税効果が限定的になってしまいます。

ケースC:相続時精算課税(年間110万円枠)を活用した場合

前提: 相続時精算課税を選択して毎年110万円×10年贈与

項目内容
贈与総額110万円×10年=1,100万円
贈与税0円(非課税枠内)
相続財産への加算0円(年間110万円枠は加算対象外)
相続税節税効果1,100万円分の財産が課税対象から除外

このケースでは、暦年贈与の7年持ち戻しリスクを避けながら、確実に節税ができます。ただし、相続時精算課税は一度選ぶと取り消せないため、慎重な判断が必要です。

第5章|正しい相続対策の「ステップ別ロードマップ」

📷 【画像挿入箇所】 5つのステップを縦に並べたフローチャート。各ステップにアイコンと短い説明文が付き、矢印でつながっている。最後のステップに「専門家に相談」と書かれている キャプション:相続対策の5ステップロードマップ:現状把握から実行・見直しまで

STEP 1 :財産の「見える化」から始める

  • 現時点での財産総額(不動産・預貯金・株式・生命保険など)を一覧化
  • 法定相続人は何人か確認(配偶者・子ども・孫など)
  • 相続税がかかる水準かどうかを確認(基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数)

STEP 2 :贈与の「戦略」を決める

状況おすすめの戦略
70歳未満で健康暦年贈与(110万円/年)を今すぐ開始。7年超の部分から節税効果大
すでに70代・80代相続時精算課税の年間110万円枠を活用。確実に節税
子や孫への大口贈与を検討教育資金一括贈与・結婚子育て資金の非課税制度も検討
不動産など大きな財産あり生命保険の活用や遺言書との組み合わせを専門家と相談

STEP 3 :「贈与契約書」を必ず作成する

贈与は口頭でも成立しますが、税務調査では「証拠」が重要です。以下の点を必ず守りましょう。

  • 毎年、贈与契約書を作成・署名する
  • 銀行振込で記録を残す(現金手渡しはリスクが高い)
  • 受け取った側(子・孫)が自分で管理できる口座に入れる
  • もらった側が自由に使えることが「本物の贈与」の条件
【要注意】「名義預金」の罠  子どもや孫の名義で口座を作り、お金を入れていても、 親や祖父母が通帳・印鑑を管理していると「名義預金」とみなされます。 この場合、税務署から「贈与とは認められない」と判断され、相続財産に含まれてしまいます。

STEP 4 :年1回「贈与記録」を整理・保管する

  • 贈与契約書(コピー可)を年ごとに整理
  • 振込明細書・通帳のコピーを保管
  • 贈与税の申告が必要な場合(年間110万円超)は期限内に申告

STEP 5 :定期的に「見直し」を行う

税法は毎年改正される可能性があります。少なくとも1〜2年に一度、専門家と一緒に現在の対策を見直すことをお勧めします。

第6章|その他の非課税制度も賢く活用しよう

6-1. 教育資金の一括贈与(〜2026年3月31日まで)

項目内容
非課税限度額1,500万円(学校等への直接支払い分)
対象30歳未満の子・孫への教育費
注意点金融機関への信託等が必要、使途証明書の提出が必要

6-2. 結婚・子育て資金の一括贈与(〜2025年3月31日まで)

項目内容
非課税限度額1,000万円(結婚費用は300万円まで)
対象18〜49歳の子・孫
注意点残額は相続財産に加算される可能性あり

6-3. 住宅取得等資金の贈与(〜2026年12月31日まで)

項目内容
非課税限度額省エネ等住宅:1,000万円 その他住宅:500万円
対象18歳以上の子・孫が住宅取得に使う資金
注意点所得制限あり(合計所得2,000万円以下)

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 110万円ちょうど贈与すれば、申告しなくてもいいですか?

A. はい、年間110万円以下の贈与は申告不要です。ただし、「110万円ちょうど」でも贈与契約書と振込記録は残しておきましょう。税務調査では「贈与の事実」を証明する必要があります。

Q2. 「7年持ち戻し」はいつから始まった贈与に適用されますか?

A. 2024年1月1日以降に行われた贈与が対象です。2023年12月31日以前の贈与は旧ルール(3年持ち戻し)が適用されます。ただし、実際の相続発生時期と贈与時期の両方を考慮する必要があるため、専門家への確認をお勧めします。

Q3. 相続時精算課税を選ぶと、後で暦年贈与に戻せますか?

A. いいえ、相続時精算課税は一度選択すると取り消しができません(同じ贈与者・受贈者の組み合わせで)。ただし、2024年からは年間110万円の非課税枠も使えるようになったため、デメリットは縮小されました。選択前に必ず専門家と相談してください。

Q4. 孫への贈与も持ち戻しの対象になりますか?

A. 原則として、孫が法定相続人でない場合(養子縁組をしていないなど)は、持ち戻しの対象になりません。ただし、遺言で遺贈を受ける孫は対象となります。また、相続時精算課税を選択している場合は加算対象となるため注意が必要です。

Q5. 贈与税を払った場合、相続税から差し引いてもらえますか?

A. はい。持ち戻し対象となった贈与について、すでに贈与税を支払っていた場合は、その贈与税額を相続税から控除できます(二重課税防止の仕組み)。ただし、計算が複雑なため専門家に依頼することをお勧めします。

まとめ:「7年持ち戻し」時代の正しい生前贈与対策

チェック項目ポイント
① 早めに贈与を開始する70歳を超える前に始めることで、7年超分の節税効果を確実に得られる
② 贈与契約書と振込記録を毎年残す名義預金と判定されないための「証拠」が重要
③ 相続時精算課税の活用を検討する2024年から年間110万円の非課税枠が新設され使いやすくなった
④ 他の非課税制度もフル活用する教育資金・住宅資金・結婚子育て資金の特例を組み合わせる
⑤ 定期的に専門家と見直しをする税法改正への対応と現状の最適化のため年1〜2回の相談が理想

「生前贈与は早く始めるほど有利」という原則は今も変わりません。ただし、7年持ち戻しのルールや各種制度の組み合わせは、ご自身の状況によって最適解が大きく異なります。

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