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売上増加、所得低調
売上が増加すれば、所得(利益)も増加することが一般的ですが、売上が増加しているにもかかわらず所得が低調というケースもあろうかと思います。
これは様々な原因が想定されます。
例えば、特殊な製品を販売するために外注費がかさんだ、大規模な設備投資を行った、といった正当な理由であれば税務調査があったとしても何ら問題はないのですが、税金を少なくしようと何らかの利益調整が行われているケースも現実に存在するため、調査の対象として選定されやすいといえます。
決算期末に大きな変動がある
税務調査では、必ずといっていいほど直近の決算期末の売上、仕入、固定資産の売買などの取引をチェックします。
その理由は、いわゆる「期ずれ」と呼ばれる決算期ごとの各取引の計上時期の誤りが見つかれば、税務当局としては課税漏れとして調査の事績にすることができるからです。
実際に税金を少なくしようと決算期末に利益調整が行われるケースも少なくありません。
したがって、次のような期ずれが想定される申告書は調査の対象として選定されやすいといえます。
- 期末月の売上(売掛金)が低調
- 期末月の仕入、外注費、人件費(買掛金、未払金)が増加
- 決算賞与を支給している
- 期末月に固定資産を取得している
多額な固定資産を取得
土地・建物、大規模修繕工事、機械装置、車両といった高額な固定資産を取得している場合には、減価償却費の計算、付随費用の資産計上といった税務処理が正しく行われているか、また、事業の用に供されているか等がチェックポイントとなります。
固定資産の取得に関する税務処理の誤りが認められた場合には、税金の計算に及ぼす影響も多額となるケースが多いことから、調査の対象として選定されやすいといえます。
ラウンド数字の計上がある
ラウンド数字とは、例えば「500,000円」、「1,000,000円」のように、一定の桁でキリを良くした数字のことをいいます。
一般的な商取引において、ラウンド数字となる請求書等のやりとりを行うケースは少ないと考えられているところ、税務当局はラウンド数字の取引を不自然と捉え、税務調査においてその計上が正当なものであるのかチェックされることが多いようです。
特に買掛金や未払金として計上したもののうち、ラウンド数字の取引が計上されている場合には、調査の対象として選定されやすいといえます。
代表者借入金が増加
中小企業の場合、資金繰りを確保するため、代表者等の役員から資金を借り入れることがあります。
代表者個人の収支の状況から想定できる範囲の借入金額であればよいのですが、代表者個人の収支の状況からは想像を超える多額の借入金がある場合には、税務当局は、その借入金の資金源泉がいわゆる裏金としてプールしてきたものではないかという考えを持つことがあります。
したがって、代表者借入金が大きく増加している場合には調査の対象として選定されやすいといえます。
支店、営業所の開設
支店や営業所等を開設するなど、事業規模を拡大した場合には、人、金、物のすべてに動きが生じ、経理処理も多様化することとなります。税務処理の誤りも生じやすいので、税務調査の対象として選定されやすいといえます。
消費税の還付申告
消費税の還付申告をした場合は、税務署が実際に還付金を振り込む前に、税務署からの書面による照会や税務調査により還付申告の内容が正当なものであるのかをチェックするケースが増加しています。
消費税が還付申告となる主なパターンとしては、高額な固定資産の取得、輸出免税取引等が該当しますが、このうち、高額な固定資産を取得したことにより消費税が還付申告となる場合には、税務調査により事実確認が行われることが多くなっています。